『頻尿』2022年6月9日南加賀学術講演会
2022年6月9日 小松市、加賀市、能美市医師会学術講演会
特別講演『日常診療でよく見かける頻尿の攻略法』
演者:岐阜赤十字病院 三輪 好生先生
座長:小松市民病院 北川 育秀先生
◆ 頻尿の原因はさまざまである。(多尿、排尿障害、尿路感染、心因性、炎症、腫瘍など)
◆ 過活動膀胱は代表的な頻尿疾患であり、尿意切迫感(急に強くなり、我慢することが困難なほどの強い尿意。通常ではみられないもの)が必須。
◆ 過活動膀胱の原因:神経疾患(脳卒中やパーキンソン病)、前立腺肥大症、特発性(原因不明、これが多い)
◆ 過活動膀胱の治療の第一選択は行動療法(生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練など)と薬物療法(抗コリン薬、β3受容体作動薬など)である。
◆ 膀胱訓練;尿意がみられた後も排尿を我慢して排尿間隔を延長する訓練。高い効果がある。
◆ 難治性の過活動膀胱には、ボツリヌス毒素の膀胱壁注入療法も行われており、高い治療効果がある。
◆ 過活動膀胱に加齢による排尿筋収縮力低下が合併した状態は、収縮力低下随伴性排尿筋過反射(detrusor hyperactivity with impaired contractility 、DHIC)と呼ばれる。頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁と残尿を認める難治性の病態であり、薬物療法で悪化する危険あり。専門的治療が必要。
◆間質性膀胱炎:まれな頻尿疾患。排尿時の膀胱痛が特徴。ジメチルスルホキシド(DMSO、商品名ジムソ)の膀胱注入治療が適応となった。
◆臨床的に大きな問題である夜間頻尿の原因は、過活動膀胱など膀胱畜尿障害の他に、夜間多尿、睡眠障害がある。
◆排尿日誌(排尿の時間と排尿量を毎回記録する)を作ると、どのタイプの夜間頻尿であるか、鑑別する大きなヒントになる。
◆睡眠障害による夜間多尿の一つに、睡眠時無呼吸症候群がある。適切な治療で改善することが多い。
◆夜間多尿の原因として高血圧や浮腫があるが、水分の取りすぎも原因の一つである。