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2024年4月17日(水曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会 特別講演 『本邦における子宮頸がん予防~いままでのこと、これからのこと~』

[2024.04.03]

2024年4月17日(水曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会

特別講演 『本邦における子宮頸がん予防~いままでのこと、これからのこと~』

演者:国立大学法人 大阪大学医学部付属病院 医学系研究科 産婦人科学教室 助教 八木 麻末 先生

座長:医療法人社団 川北レイクサイドクリニック 院長 川北 寛志 先生

 

 

子宮頸がん予防に関する問題点、今後の課題を丁寧に教えて頂きました。

HPVワクチン接種率はまだまだ低く、これを増やしていくためには、対象年齢の女性とその家族が安心して注射を受けられる空気感が大事だと感じました。

えらいお医者さんに言われるより、身近な友人が接種したので自分も接種を決めたという女子が多いそうです。

キャッチアップ接種の期間は2025年3月までとなっており、まだ受けられていない方は是非、早めに接種をよろしくお願いいたします。

 

 

 

◆ ほとんどの子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染によるものである。

◆ HPVは女性の多くが、一生に一度は感染するウイルスである。

◆ HPVは200種以上あり、ローリスクタイプは、疣贅(いぼ)、扁平コンジローマ(6、11型)、ハイリスクタイプ(16、18、52、58型)は、子宮頸がん(女性)、陰茎がん(男性)、肛門がんや中咽頭がん(男女)を引き起こす。

◆ 中咽頭がんは男女ともに増加している。

◆ HPVの感染経路は、粘膜、皮膚感染(性行為感染症)と母子感染(6、11型)がある。

◆ 出産時に、母親の子宮頸がん細胞を羊水と一緒に飲み込んだ新生児が、後に肺がんを発症するまれなケースも報告されている。

◆ HPVが感染すると、数年かけて、子宮頚部に前がん病変(CIN)を起こす。高度異形成(CIN3)の約30%は10年ほどの経過で浸潤がんとなる。

◆ 子宮頸がんの患者さんは、60~70歳代が多かったが、2010年代以降、20歳~30歳代と妊娠可能な女性に多くなっている(若年化)。

◆ 前がん病変の段階であれば、円錐切除をすることにより浸潤がんへの進展を抑制することができるが、円錐切除後早産となるリスクが高まる。

◆ HPVワクチンによりHPV感染を予防する事と、がん検診による早期発見、早期治療を行う事で『子宮頸がんほど一次予防、二次予防が確立されたがんはない』と言われる。

◆ 日本ではHPVワクチンは2009年から接種開始され、子宮頚がんの患者数は減少傾向にあった。

◆ しかし、HPVワクチン接種後、『多様な症状』(広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動)が現れるという事が、マスコミで大きく報道され、厚生労働省はHPVワクチンの積極的勧奨の中止を決定した。(この決定は世界中で大きな批判を受けた)

◆ 2013年から2021年まで子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が中止された結果、子宮頸がんの患者数は増加傾向にある。

◆ 実際には『多様な症状』は、ワクチン接種の有無にかかわらず、一定の割合で現れることが『祖父江班の報告』や『名古屋スタディ』で示された。

◆ 『多様な症状』が現れた個々の患者さんに対しては、丁寧な対応が求められ、各都道府県で診療体制が整っている。

◆ 2020年にWHOが子宮頸がんの排除『子宮頸がんを歴史的書物の疾病にする』の戦略を打ち出した。

◆ 2030年までに15歳までの女性のワクチン接種率 90%以上、子宮頸がん検診の受診率 70%以上、子宮頸がん治療率 90%以上を達成できれば、2085年までに子宮頸がんが排除できる可能性が高いと考えられている。

◆ HPVワクチンは、HPV感染防止、前がん病変(CIN)抑制、浸潤がん抑制効果が示されているが、これらの効果はより若年時に接種した場合に著明である。

◆ 15歳未満で1回目のHPVワクチンを受ければ、接種回数は2回でよい。(それ以上の年齢では3回必要)

◆ 積極的勧奨中止によって、接種の機会が失われた世代(平成9年4月2日生まれ~平成19年4月1日生まれ)の女性は、キャッチアップ接種を受けることができる。また、この世代は子宮頚がん検診を、今後より積極的に受ける必要がある。

◆ HPVは性行為によって、双方向性(男性→女性、女性→男性)に感染する。

◆ そのため男性にHPVワクチンを接種することも理にかなっており、世界では44か国で男性への定期HPVワクチンが行われている。(日本では自費接種は可能。一部の自治体でのみ定期接種が始まっている)

 

 

 

 

 

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