2025年11月27日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会『糖尿病治療だけじゃない、セマグルチドへの期待』
[2025.11.05]
2025年11月27日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会
特別講演 『糖尿病治療だけじゃない、セマグルチドへの期待』
座長 医療法人 社団和楽仁 芳珠記念病院 内科部長 若山 綾子 先生
演者 金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科 教授 熊代 尚記 先生
- 日本ではBMI 25%以上は肥満と定義され、人口の約25%、約3000万人がこれに該当する。(世界的には人口の約40%がBMI25%以上)。BMI 35%以上は高度肥満。
- 肥満に関連した健康障害が存在し、医学介入が必要な状態が『肥満症』と呼ばれる。
- 肥満に関連した健康障害 ①耐糖能障害、②脂質異常症、③高血圧、④高尿酸血症、痛風、⑤冠動脈疾患、⑥脳梗塞、⑦非アルコール性脂肪性肝疾患、⑧月経異常、女性不妊、⑨睡眠時無呼吸症候群、⑩運動器疾患、⑪肥満関連腎臓病、⑫内臓脂肪型(腹囲 85㎝以上:男性、90㎝以上:女性)
- 肥満症は遺伝的、環境的、心理的要因が複雑に絡む慢性疾患であり、患者さんに対する偏見(スティグマ)を排除する事が極めて重要である。その治療において、「怠けている」、「自己管理ができない」などの否定的な言葉は厳禁である。
- BMIが増加するほど、総死亡率、特に心血管疾患が著明に増加する事が多くの研究で示されている。
- 肥満症治療の基本は生活習慣改善である。わずかな体重の減少でも、代謝的に良好な効果が得られるため、初期目標として3%程度の体重減量が推奨される。高度肥満の場合は5~10%減量を目指す。
- 運動療法も重要であるが、関節へ負担をかけないような運動:水中ウオーキングやエアロバイクなど、が推奨される。
- 人間の体には、体重を維持する強力なホメオスタシス(生体恒常性)が存在し、体重が減ると食欲が増し空腹感が強まる。肥満症治療において、この空腹感が最大の関門である。
- セマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬は脳の食欲中枢に作用して、強力に食欲を抑制する。肥満症治療において画期的な薬剤である。
- セマグルチドは食欲を低下させることで、カロリー摂取量を35%減らす。
- 日本、韓国で行われたSTEP-6試験において、セマグリチドは68週間にわたって、体重、内臓脂肪を有意に減少させた。5%以上の体重減量達成率は70-80%であった。
- 非糖尿病、肥満患者において、セマグリチドはプラセボに比べて、重大心血管イベント(MACE)を4年間で約20%減らした。(SELECT試験)
- セマグルチドの効果は体重減少がみられる前から現れており、体重減少のみではないセマグルチドの心血管疾患を減らす効果が示唆される。
- ウビーゴ(セマグルチド)は肥満症に適応のある注射薬であり、68週間まで保険診療として使用可能である。しかし、ウビーゴを処方できるのは、専門医や栄養士が常勤する限られた施設のみである。
- 高度肥満の患者さんには外科的治療も選択肢となる。腹腔鏡下スリーブ状胃切除術はBMI 35以上の高度肥満症の方に2024年6月から保険適応となっており、確実な体重減少効果がある。
- 肥満症の患者さんを適切なタイミングで肥満症専門病院へご紹介することが、重要である。
