2026年1月14日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会 特別講演 『インクレチンを標的とした糖尿病治療の新展開~GIPに対する理解を深める~』
[2025.12.24]
2026年1月14日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会
特別講演 『インクレチンを標的とした糖尿病治療の新展開~GIPに対する理解を深める~』
座長 加賀市医療センター 内分泌代謝内科 医長 岡本 拓也 先生
演者 福井大学学術研究院 医学系部門 内分泌代謝内科学分野教授 原田 範雄 先生
- 同じインクレチンでもGIPはGLP-1と異なり、状況に応じて複雑にインスリン分泌やグルカゴン分泌に作用すると考えられている。今後GIPの機能が明らかになれば、糖尿病、肥満症治療がさらに進歩するものと期待される。
- 日本人は欧米人に比べて、インスリン抵抗性は良好で、インスリン分泌能は低い。
- インクレチンはブドウ糖の経口摂取により、腸から分泌されるホルモンであり、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)とGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)がある。
- インクレチンはブドウ糖の経口摂取で上昇するが、血管内投与では上昇しない。
- インクレチン効果とは、経口ブドウ糖負荷(OGTT)と静脈内ブドウ糖負荷(IVGTT)でのインスリン分泌量の差である。
- 全インスリン分泌に占めるインクレチン効果は、正常人では50-70%程度。日本人は欧米人より低い。
- インクレチン効果は2型糖尿病患者で著しく減少し、一部の症例では完全に消失する
- 2型糖尿病におけるインクレチン効果の減弱は、主にGIPのインスリン分泌刺激能が損なわれていることに起因する。GLP-1の作用は比較的維持される。
- GLP-1は食欲抑制、胃排泄遅延、インスリン分泌亢進、グルカゴン分泌抑制の効果を持ち、血糖値改善作用、体重減少作用を発揮する。脂肪合成も抑制する。
- GLP-1受容体作動薬は実臨床において、重大心血管イベントを大きく減らす良好な結果をい多くの試験で示している。
- GIPはGLP-1と異なり、血糖値が低い時には、グルカゴン分泌を刺激し、脂肪細胞の血流を増やし、脂質の蓄積を促進する働きがある。
- GIP濃度は肥満度と正比例する。(体重が多い人ほど、GIP濃度が高い)
- また、GIP受容体欠損マウスは、肥満に対する非常に強い耐性を持つため、以前は、GIPの作用で、体重増加すると考えられていた。
- まだ臨床応用されていないが、GIP受容体拮抗薬(AMG133)は、特にGLP-1作動薬と組み合わせることで非常に高い減量効果を発揮することが示された。
- しかし、実際にはチルゼパチドのようなGIP受容体作動薬とGLP-1作動薬を組み合わせた薬剤は、GLP-1作動薬単独より体重減少効果が強いことが実臨床で示された。
- GIPは低血糖~正常血糖時はグルカゴン分泌を刺激するが、高血糖時はインスリン分泌を刺激する"bifunctional regulator"を持つ。
- GLP-1はコレシストキニン(CCK)作用を低下させ、胆のう収縮を抑制する。そのためGLP-1作動薬使用時には胆石発作に要注意である。
