2026年5月14日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会 特別講演 『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)のポイントとARNIへの期待』
[2026.04.07]
2026年5月14日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会
特別講演 『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)のポイントとARNIへの期待』
座長 芳珠記念病院 内科部長 臼倉 幹哉 先生
演者 近畿大学医学部 腎臓内科 主任教授 有馬 秀二 先生
- 診察室血圧 140/90mmHg以上が高血圧と定義される。(家庭血圧では135/85mmHg以上)
- JSH2025において、高血圧の降圧目標値は130/80mmHg未満と定められた。これ以上の血圧に比べて、脳卒中や心臓病が減少するためである。
- 血圧は120/80mmHgを超えて、高くなればなるほど、脳卒中、冠動脈疾患、心不全、心房細動、認知症の罹患リスクと死亡リスクが高くなる。
- 75歳以上の高齢者でも血圧目標値は130/80mmHg未満であるが、身体機能や認知機能が低下した高齢者の場合、降圧に伴い転倒リスクが増えるリスクもあり、個別判断(収縮期血圧<140~150)となる。
- 日本において、高血圧者数は 約4300万人と推定される。そのうち血圧が良好にコントロールされている者は1200万人のみで、1400万人は自分が高血圧である認識すらない。
- 世界の国の中で日本の高血圧コントロールは最下位レベルである。
- 高血圧治療において、生活習慣の改善も重要である。ナトリウム制限 食塩6g/日未満、カリウムの積極的摂取、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙。
- 診察室での血圧は高いが、診察室外で血圧が高くない状態は白衣高血圧と呼ばれる。白衣高血圧は、持続性高血圧ほど臓器障害リスクが高くないと考えられている。
- 逆に診察室血圧は高くないが、診察室外で血圧が高い状態は仮面高血圧と呼ばれ、持続性高血圧と同程度の臓器障害を有し、適切な降圧治療が必要である。
- 日本において、高血圧に起因する脳心血管病死亡数は年間約17万人と推定される。脳心血管病死亡の約40%は高血圧に起因すると推定される。
- 収縮期血圧が脳心血管病リスクをより強く予測する。
- 拡張期高血圧(収縮期血圧は正常)は若、中年に多く、脳心血管病リスクが高くない場合、積極的な降圧治療は勧められない。
- 通常、夜間血圧は日中覚醒時より10~20%低下する。(dipper型 正常型)、夜間血圧が日中より20%以上低下するパターンをextreme-dipper型、0~10%未満をnon-dipper型、0%未満をriserと呼ぶ。いずれのタイプもdipper型と比較し脳心血管イベント発生リスクが高い。
- 日本人では圧利尿曲線が右方移動(ナトリウムを排泄するためにより高い血圧が必要)している食塩感受性高血圧、Non-dipper型高血圧が多い。
- 夜間から早朝にかけての血圧が上昇する事は、血圧モーニングサージと呼ばれ、脳心血管イベントのリスクが高くなる。Non-dipper型でも早朝高血圧が高く、早朝血圧を適切に管理する事が健康リスク低減に重要である。
- 日本高血圧学会は『早朝高血圧徹底制圧宣言2025』を発表し、家庭血圧やキオスク血圧測定を広めるなど、適切な血圧管理の社会実装を目指している。
- 家庭血圧測定では、上腕カフ、オシロメトリック式血圧計(一般的に市販されているもの)を使用する。起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前、座位1,2分安静後に測定された血圧が早朝血圧である。
- 高血圧(診察室血圧≧140/90mmHg)と診断され、脳心血管病のリスクが高い状態:血圧≧180/110mmHg、脳心血管病既往、心房細動、糖尿病、蛋白尿のあるCKD、もしくは『65歳以上、男性、脂質異常症、喫煙』のうち3つを満たすものは直ちに(1~数か月様子を見ずに)薬物療法を開始する必要がある。
- 目標の血圧レベルに達するために,多くの高血圧患者では降圧剤が2種類以上必要となることが多い。
- 高血圧の薬物治療STEP1においては、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、RA系阻害剤、少量のサイアザイド利尿薬、β遮断薬のいずれか単剤を使用する。
- STEP1治療で降圧目標を達成できない場合、STP2として、STP1の薬剤を2剤併用するか、ARNIやMR拮抗剤を使用する。高リスク患者においては治療当初からARNIなどSTEP2治療を開始する事も許容される。
- STEP2で降圧目標が達成できなければSTEP3として、3剤併用する。原則としてサイアザイド利尿薬を含める。
- ARNIはNa排泄を増加させ、腎髄質血流を増やすため、食塩感受性高血圧の圧利尿曲線を改善させる。
- 血圧コントロール不良の場合、血圧評価法や服薬アドヒアランス、塩分制限、飲酒量などの生活習慣が適切であるかどうかを再評価する必要がある。
