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2026年6月10日(水曜日) 『間質性肺炎のより良い予後を目指して ‐地域連携について‐ 』

[2026.06.02]

2026年6月10日(水曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会

特別講演 『間質性肺炎のより良い予後を目指して ‐地域連携について‐ 』

座長 小松市民病院 呼吸器内科 医長 米田 太郎 先生

演者 熊本大学大学院 生命科学研究部 呼吸器内科学講座 教授 坂上 拓郎 先生

 

 

 

  • 間質性肺疾患(interstitial lung disease: ILD)は予後不良な呼吸器疾患群であり、高齢化に伴って患者数および死亡数が増加トレンドにある。日本人男性の死因の約10位である。
  • ILDは、肺胞壁やその周囲に炎症や線維化を生じ、拘束性肺障害:努力肺活量(FVC)低下、全肺気量(TLC)低下、拡散能(DLCO)低下をきたす。
  • ILDの多くは長時間進行せず緩徐な経過をたどるが、一部は進行性線維化を呈し、呼吸機能低下し予後不良である。このような進行性線維化性肺疾患の代表が特発性肺線維症(IPF: Idiopathic Pulmonary Fibrosis)である。
  • ILDは200以上の疾患群の総称で、薬剤性間質性肺炎(サプリメントも含む)、過敏性肺炎(鳥抗原、カビ、加湿器などの吸入抗原による)、膠原病関連、サルコイドーシスなどが含まれるが、IPFが最多である。
  • IPFは男性に多く(約73%)、加齢とともに増加する。50歳未満ではまれで75-79歳で最多。約60~80%に喫煙歴がある。
  • 特発性間質性肺炎は指定難病であり、受給者数はおよそ2万人前後で推移している。IPFはその約60%を占める。
  • IPFは進行性肺線維化による呼吸機能が悪化し、5年生存率は約30%であり、ほとんどのがんより予後が悪い。
  • PPF(Progressive Pulmonary Fibrosis:進行性肺線維症) とは、IPF以外のILDにおいて肺線維化が進行し、呼吸機能が悪化する病態である。IPF同様予後が悪く、抗線維化薬治療の対象となる。関節リウマチや全身性強皮症関連ILDも含まれる。
  • 抗線維化薬:ニンテダニブ (オフェブ)、ピルフェニドン (ピレスパ)はIPFにおける肺線維化の進行速度を低下させ、生命予後を改善する疾患修飾性薬剤である。
  • ピルフェニドンは主としてTGF-βを介した線維化シグナルを抑制し、ニンテダニブはPDGF・FGF・VEGF受容体を阻害するマルチチロシンキナーゼ阻害薬として線維芽細胞の増殖・活性化を抑制する。両薬剤とも肺線維化の進行速度を低下させるが、既存の線維化を改善する作用は限定的である。
  • 新規抗線維化薬であるネランドミラスト(ジャスケイド) はPDE4B選択的阻害薬であり抗線維化作用に加え、免疫調節作用を持つ。
  • FIBRONEER試験においてネランドミストは、IPF、PPFに対して、FVC低下抑制効果を示した。従来の抗線維化薬との併用も可能。
  • 抗線維化薬を用いても、失われた肺機能が回復する事はないため、IPFと診断され、使用禁忌でなければ、できるだけ早く治療開始する事が望ましい。
  • しかし、実際にはIPFによる息切れの自覚症状出現から専門医受診まで平均2年かかっている。専門医へ紹介される時期が早ければ早いほど予後が良いことが報告されている。
  • そのため、IPF診療において、早期発見、早期治療が極めて重要である。
  • ILDにおいて、胸部CTで両側びまん性の網状影、すりガラス影がみられ、経過とともに蜂巣肺に進行する。
  • 間質性肺疾患(ILD)と過去に診断されておらず、胸部CTで偶然間質性肺疾の所見がみられた場合、ILA(Interstitial Lung Abnormality:間質性肺異常影)と呼ばれる。
  • ILAの一部はIPFへと進行するが、 約12年で3%と報告がある
  • IPFにおいて、吸気終末の捻髪音(fine crackles)、ベルクロラ音が背側下肺で聴取されることが多く、IPF画像所見に先行する。IPFの早期発見に有用な所見である。
  • IPFが疑われた場合、非専門医から呼吸器内科へ紹介するタイミングを遅らせないことが重要である。

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