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『片頭痛』2022年5月12日南加賀学術講演会

[2022.04.27]

特別講演『医療連携による地域完結型の頭痛診療 -抗CGRP受容体抗体の登場を踏まえて-』

演者 済生会熊本病院 脳卒中センター 橋本洋一郎先生

座長 小松市民病院 新多 寿先生

 

◆頭痛診療において、命にかかわる頭痛を、最初に除外することが重要。

◆代表例はクモ膜下出血で雷鳴頭痛(雷に打たれたように突然起こる激しい頭痛)として発症することが多い。

◆繰り返す雷鳴頭痛の場合は、RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)の可能性もあるが、診断は難しい(各種画像検査を繰り返す必要がある)。

◆片頭痛は最多の脳疾患だが、片頭痛患者さんの多くは診断、治療されていないため、彼らの日常生活や仕事に大きな損失を与えている。

◆片頭痛は女性に多く、月経時に悪化する事がよくみられる。多くは思春期に発症する。家系内発症が多い。小児期から乗り物酔いする人が多い。

◆片頭痛では前兆(閃輝暗点:頭痛より前に起こるキラキラした光、ギザギザの光、情緒不安定、あくびを繰り返すなどの症状)がみられるものと、前兆のないものもある(こちらのほうが多い)。

◆片頭痛の持続時間は4-72時間、片側性(両側性も多い)、拍動性、中等度~重度の頭痛、歩行や階段昇降によって頭痛が悪化する。そのため活動をさける(仕事を休む)事がある。悪心、嘔吐、光過敏、音過敏、匂い過敏を伴う。

◆1か月に15日以上頭痛症状がある場合、慢性片頭痛の診断となる。その多くは、薬剤の使用過多による頭痛(MOH:medication-overuse headache)の診断も満たす。

◆MOHは脳の報酬系が関与して発症すると考えられている。頭痛薬を中止することでMOHによる頭痛は軽減する。(長期間、頭痛に苦しんで内服を続けている人に、突然薬をやめてくれと言うのは難しそうだが、頭痛専門の先生方は上手に治療してくれます)

◆片頭痛は他の頭痛(筋緊張性頭痛、うつ病にともなう頭痛、群発頭痛)と併発することも多い。一人の患者さんが同時に多くの種類の頭痛と診断される事も珍しくない。

◆うつ病による頭痛は朝に頭痛が強く、筋緊張性頭痛は夕に頭痛が強くなる。

◆群発頭痛は片目の奥がえぐられるような激しい痛みが特徴的。結膜充血、流涙、眼瞼下垂、鼻閉、鼻汁を伴う事も多い。治療として在宅酸素療法が保険適応となっている。

◆片頭痛の急性期治療としてトリプタン製剤が使われるが、RCVSによる頭痛はトリプタンによって悪化する。

◆エストロゲンを含有する経口避妊薬は片頭痛を悪化させる。

◆片頭痛予防薬として抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体抗体製剤が新たに登場した。注射薬:1か月ごとに投与(3-12ヵ月)

◆抗CGRP関連薬の有効性は高く、10~20%の方は頭痛が全く出現しなくなる。しかし費用の問題で躊躇される方も多い。投与後継続するかどうかは患者さんの意見が尊重される。

◆有効性の高い新たな片頭痛治療薬が今後も多く登場する見込みとなっており、頭痛で不自由を感じている患者さんが、頭痛から自由になることが期待される。

 

 

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