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『認知症』2022年7月13日南加賀学術講演会

[2022.06.11]

2022年7月13日(水曜日) 小松市、加賀市、能美市医師会学術講演会

特別講演『レビー小体型認知症の診断と治療』

演者:金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科神経内科学 小野 賢二郎先生

座長:さたけ内科クリニック 佐竹 良三先生

 

 

◆ 認知症とは一度獲得された知的機能が、後天的な脳の機能障害によって全般的に低下し、社会生活や日常生活に支障をきたすようになった状態(意識障害のないときにみられる)。

 

◆ 日本では860万人もの人が認知症もしくは軽度認知障害(MCI: mile cognitive impairment)の状態にあると言われている。

 

◆ 認知症に対する治療は、薬物治療が中心になるが、患者さん、ご家族の不安、負担を解消するには不十分である事が多く、これを補完するものとして認知症カフェなどが有効である。

 

◆ 認知症の中では、アルツハイマー認知症が最も多いが、それに次いで多いのが、レビー小体認知症(DLB:dimentia with Lewy bodies)、脳血管性認知症である。(3大認知症)

 

◆ 認知症の症状は中核症状と周辺症状(BPSD: behavioral and psychological symptoms of dementia) に分けられる。

◆ 中核症状:記憶障害、見当識障害(時間、場所がわからなくなる)、理解力、判断力の障害(季節に合った服装がわからなくなる)、実行、機能障害(炊飯器の使い方がわからなくなるなど)、失語、失認識、失行。

◆ 周辺症状:幻覚、妄想(ものを盗まれたなど)、抑うつ、無気力、無関心、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想、猜疑心、嫉妬、暴言、暴力、食行動異常、性的行為、昼夜逆転など

 

◆ アルツハイマー認知症では、中核症状が前面に出るが、レビー小体認知症では初期では中核症状は目立たず、周辺症状の問題が多くみられる。

 

◆ レビー小体型認知症の原因は、パーキンソン病と同じα-シヌクレインが異常凝集したもの(レビー小体)である。

◆ アルツハイマー型認知症ではアミロイドβやタウたんぱくの蓄積が起こる。

 

◆ レビー小体認知症の多くは初期には異なる診断(うつ病やアルツハイマーなど)をされている事が多い。

 

◆ レビー小体型認知症の中核症状
①変動する認知機能(注意・覚醒度)(調子のよい時と悪い時がある)
②繰り返し出現する具体的な幻視(関係ないものが人の顔にみえるなど錯視も多い)
③REM睡眠期行動異常症(RBD :REM sleep Behavior Disorder) (レム睡眠期に、 夢内容に伴う精神活動が行動化を示す:就寝中に大きな声で寝言を言う、笑う、突然座る、暴れる、モノを投げつけるなどの動作
④1つ以上の主要なパーキンソン徴候(緩慢動作、安静時振戦、固縮)

◆レビー小体型認知症を支持する症状
向精神病薬への感受性亢進(薬効が強く出過ぎる)、姿勢反射障害、繰り返す転倒、失神、一過性の意識消失、顕著な自律神経障害 (便秘、起立性低血圧、尿失禁) 頑固な便秘が最も早く出現する症状、睡眠過剰、嗅覚低下、幻視以外の幻覚、妄想、アパシー(無気力、意欲低下)不安、抑うつ症状

◆レビー小体型認知症の指標となるバイオマーカー検査
DAT(dopamine transporter) scan 、MIBG スキャン(心臓が描出されない)、睡眠ポリグラフィー (筋緊張の低下をともなわないREM睡眠:RBDの存在) (どれも一般内科でオーダーすることはまずないと思われる)

 

◆ レビー小体認知症の治療には、コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)などアルツハイマーと共通の薬剤も使用されるが、アルツハイマーでは使用されない薬剤(L-DOPA、アマンタジン、エンタカボン、ゾニサミド)も効果的であり、症状軽減が期待される。そのため、早期にレビー小体認知症と診断を行うことが望まれる。

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