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『腎性貧血』2022年4月21日南加賀学術講演会

[2022.03.22]

2022年4月21日(木曜日)小松市、加賀市、能美市医師会学術講演会

特別講演『腎性貧血治療における生理的造血を考える』演者:隆裕庫医科大学循環器、腎透析内科学 教授 倉賀野 隆裕先生、座長:加賀医療センター副院長 水冨 一秋先生

  • 慢性腎臓病(CKD)において、貧血治療は生活の質(QOL)を改善し、死亡率を低下させ、左室肥大、腎機能障害の進行を抑制する。
  • 腎性貧血とは、貧血に見合ったエリスロポエチン(EPO)産生がされない状態であるが、鉄(Fe)はEPOと同様に重要であり、両者は造血における両輪であると言える。バランスの取れた治療が肝要である。
  • 貧血未治療の患者さんで、フェリチン値が50ng/ml未満であれば、ESA(Erythropoiesis stimulating agent)に先行して鉄補充療法が推奨されている。

鉄代謝障害には、絶対的鉄欠乏状態と鉄利用障害が存在する。

  • 絶対的鉄欠乏状態は、フェリチン低値、TAST低値となる。
  • 鉄利用障害時は、フェリチン正常~高値、TSAT低値となる。
  • CKDにおける鉄利用障害にはヘプシジン高値が関与しており、網内系からの鉄放出障害が起きている。
  • 鉄利用障害のあるCKD患者さんにおいて、腎機能障害進行、脳血管障害、死亡率のリスクが高い。
  • 鉄は造血に必要であるが、毒性も有するため、鉄過剰状態は避けなければいけない。必要時に必要量を投与することが原則である。
  • 経口鉄剤であっても、ヘプチジンを上昇させることがあり、漫然と投与することは避けるべきである。
  • ESA投与量が多い(ESA反応性が悪い)患者さんは、死亡率が高い。
  • 新規腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害剤は、HIF(hypoxia-inducible factor)を安定化させ、内因性EPO血中濃度を上昇させ貧血を改善させる。
  • HIF-PH阻害剤の効果は腎機能が廃絶した透析患者さんでも見られ、貧血を改善することができる。
  • HIF-PH阻害剤はEPOの他、トランスフェリンやVEGF(血管内皮増殖因子)を上昇させる。
  • HIF-PH阻害剤は、ヘプシジン産生を抑制するため、鉄利用障害を改善することが期待される。

TSAT(トランスフェリン飽和度)=Fe値/TIBC(UIBC+Fe)

TIBC=トランスフェリン×1.3

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