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『NSAIDs起因性消化管障害抑制の意義と胃食道逆流症』2025年1月9日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会

[2024.12.18]

2025年1月9日(木曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会

講演1『自験例から見た、NSAIDsと出血性潰瘍の現状』

演者 国民健康保険小松市民病院 診療部長  又野 豊 先生

講演2 『NSAIDs起因性消化管障害抑制の意義と胃食道逆流症』

座長 特定医療法人社団勝木会   整形外科 理事長 勝木 保夫 先生

演者 名古屋大学大学院医学系研究科 整形外科学/リウマチ学 教授 今釜 史郎 先生

 

消化器内科の先生と整形外科の先生から、出血性潰瘍、胃食道逆流症(GERD)について、多角的なお話を伺いました。消化管潰瘍による吐血や穿孔が生じた場合には、消化器内科や外科の先生方に治療をお願いすることになります。しかし、非専門科の医療者としては、こうした重篤な事態を未然に防ぐ取り組みが極めて重要です。

◆NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を3か月以継続していると、10-15%で胃潰瘍、3%で十二指腸潰瘍、1%で出血性潰瘍が生じる(酸分泌抑制薬なしで)

◆アスピリンもNSAIDsの1種である。

◆出血性潰瘍では上腹部、背部痛、吐き気、吐血などの症状がみられるのが一般的だが、NSAIDs潰瘍の出血を起こしても無症状の患者さんも多い。

◆次のような状態があると、NSAIDs潰瘍の高リスクである。

・高齢(65歳以上)・重篤な全身疾患を有する・消化性潰瘍の既往、副腎皮質ステロイドの併用 ・抗凝固薬と抗血小板薬の併用 ・高用量あるいは複数のNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)の併用 ・ビスホスホネートの併用 ・ヘリコバクターピロリ陽性 

◆喫煙、アルコール摂取もNSAIDs潰瘍のリスクを高める可能性がある。

◆NSAIDs潰瘍が発生した場合、可能であればNSAIDsを中止する。NSAIDs中止が不可能な場合、PPI(プロトンポンプインヒビター)使用が推奨される。

◆NSAIDs潰瘍のリスクが高いと予想される場合、潰瘍歴のない患者さんにおいてもNSAIDs潰瘍の予防投与が望ましい。潰瘍歴のある患者さんの予防には,PPI 、ボノプラザ ンが推奨される。

◆ボノプラゾン(P-CAB:カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)はPPIより酸分泌抑制作用が強く、効果の立ち上がりが早い。

 

◆消化性潰瘍診療ガイドラインにおいて、粘膜保護剤のみによるNSAIDs潰瘍予防は推奨されておらず、又野先生のデータでも粘膜保護剤のみではNSAIDs潰瘍の発症を抑制できていなかった。

◆脊柱後弯(円背、Kyphosis)とは、脊柱が過度に後方に湾曲している状態である。

◆脊柱後湾の原因には、先天性、腫瘍性、症候性(パーキンソン症候群)、放射線障害性、骨粗しょう症、脊椎カリエス、OPLL(後縦靭帯骨化症)などがある。

◆脊柱後湾があると、腹圧上昇、腹腔容量の低下、横隔膜機能低下などにより胃食道逆流症(GERD)を合併しやすい。

◆脊柱後湾は運動障害や痛みのため、QOL(生活の質)を大きく低下するのみならず、死亡率も上昇させる。

◆若年発症の重度脊柱後湾においてはHalo gravity traction牽引や外科的治療が行われるが、脊柱後湾患者の多くは、高齢者である。

◆農作業など前かがみになることが多い職業は脊柱後湾のリスクが高い。

◆骨粗しょう症、脊椎圧迫骨折が多くの脊柱後湾の原因でありその予防が肝要であるが、骨粗しょう症検診の受診率は5%台と低い(目標 15%以上)

◆健康寿命延伸を目指したフレイル、ロコモ克服(医学会宣言)のため、骨粗しょう症対策は重要である。

◆胃食道逆流症の確定診断には内視鏡検査が必要であるが、胃食道逆流症ガイドラインにおいて、内視鏡未施行でPPIを2-4週間使用するという選択肢もある。(改善しなければやはり内視鏡検査が必要)

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