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『2型糖尿病におけるSGLT2阻害剤の腎保護作用』南加賀学術講演会 2023年5月31日

[2023.04.25]

2023年5月31日(水曜日)小松市、能美市、加賀市学術講演会

特別講演『2型糖尿病におけるSGLT2阻害剤の腎保護エビデンスとその作用機序の理解』

演者:香川大学医学部 薬理学 教授 西山 成 先生

座長:小松ソフィア病院 腎臓内科 松野 貴弘 先生

 

◆ 2019年のCREDENCE試験の発表で、SGLT2阻害剤の腎保護効果は世界に衝撃を与えた。(学会会場でスタンディングオベーションが鳴りやまなかったそうです)

◆ SGLT2は近位尿細管において、ナトリウムとグルコースの再吸収を行う。

◆ 近位尿細管を流れるグルコースはSGLT2の効果で速やかに尿細管細胞内に再吸収される。そのため近位尿細管細胞は常に過栄養状態であると言える。

◆ SGLT2阻害剤はSGLT2をブロックして近位尿細管を通過するナトリウムとグルコースの再吸収を抑制する。これにより、血糖低下、体重減少、血圧低下、TGF活性化による糸球体内圧低下、尿中アルブミン低下などが目に見える効果として現れる。

◆ TGF(tubular glomerular feedback):尿細管糸球体フィードバック:遠位尿細管と糸球体の接する部位:傍糸球体装置(JGA)のマクラデンサ(緻密班細胞)は尿中の塩分濃度(Cl⁻濃度)が高い事を感知すると、輸入細動脈を収縮させ糸球体内圧を低下させる。尿中塩分濃度が低いと輸入細動脈を拡張させ、糸球体内圧を上昇させる。

◆ 糖尿病ではSGLT2の発現が亢進しており、マクラデンサへ到達する塩化ナトリウムが低下するため、TGFにより輸入細動脈が拡張し、糸球体内圧が上昇している。(TGFの破綻)

◆ SGLT2阻害剤の二次的な腎保護効果(目に見えない効果)として酸素ストレスの低下、炎症反応の抑制、尿細管老化抑制、オートファジー改善、VEGFa上昇による虚血改善がある。

◆ メタボリックシンドロームのマウスにおいて、交感神経は常に活性化しているが、SGLT2阻害剤投与によって、夜間の交感神経が抑制された。(快眠できそう)

◆ SGLT2阻害剤投与により、尿細管細胞はカロリーロス状態となる。そのため糖新生、ケトン産生が亢進する。ケトン体は尿細管保護作用を有している。

◆ SGLT2阻害剤投与直後は尿量が増加し、負の水分バランスとなり体重も減少する。しかし投与慢性期には尿糖は出続けるが、水分バランスは正常化し、体重減少も2-3Kg程度にとどまる。西山 成先生は、この時期に夏眠様反応(aestivation-like response)が起き、数日間で尿糖排泄亢進(尿細管の飢餓状態)に適応したものと仮定している。(Akira Nishiyama , Kento Kitada, Possible renoprotective mechanisms of SGLT2 inhibitors, Front Med. 2023)

 ◆ 夏眠は魚類の一部(肺魚など)や爬虫類、両生類が気温上昇や乾燥環境にさらされた時に行う生体防御反応である。

◆ 哺乳類は夏眠をしないが、進化の過程で、海から陸へ上がった際、強い脱水にさらされた。この時に夏眠様反応で適応したのではないかと予想される。

◆ 乾燥状態で、体内水分を維持するために尿素を利用することが最も効果的である。尿素は肝臓でしか産生できない。(腎では作れない)。尿素の材料はアミノ酸であり、この出所は筋肉である。

◆ 飢餓状態では、グルカゴンが増加し、糖新生が刺激される。グルカゴンは肝での尿素産生も増やす。脱水状態では、バゾプレッシン分泌が増加し尿量は減少する。バゾプレッシンも尿素を増加させる。

◆ 夏眠様反応は肝臓で尿素産生のため、エネルギーが消費されるが、肝臓以外でのエネルギー消費をさせないようにしている。

◆ SGLT2阻害剤は腎において、一種の飢餓状態(エネルギーロス)を起こし、夏眠様反応による異化反応亢進、交感神経低下、エネルギー消費低下が起こり、これが腎保護作用の一部を担っていると考えられる。

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